入試講評

平成25年度 中学入試講評

理科

理科1次 正答率・講評

問題 正答率(%)
受験者 合格者
【1】 問1 94.3 98.9
問2 59.1 72.5
問3 95.0 97.8
問4 45.3 54.5
問5 78.5 88.8
【2】 問1 43.8 60.7
問2 71.6 86.5
問3 44.2 56.2
問4 38.2 50.6
問5 63.4 79.8
問6 27.4 49.4
問7 49.2 69.7
【3】 問1 39.7 52.8
問2 18.9 20.2
問3 39.1 62.9
問4 16.4 19.1
問5 23.0 27.0
問6 66.2 70.8
【4】 問1 72.9 86.5
問2 71.0 87.6
問3 26.5 53.9
問4 20.8 50.6
問5 8.8 23.6
【1】
地球が公転している場所から季節を考える問題。地球の位置から季節を答える問題についてはかなりの受験生が正答していた。また、地球の地軸が23.4度から0度になったと仮定したときの季節を考える問題について、実際にそうなった時どうなるか考えるより、単純に日射の当たる角度が1年を通して変わらないことから春か秋が続くことを答えてもらえばよい。これも正答率が高かった。しかし、夏と冬の天気図を選ぶ問題については正答率が低かった。普段、新聞の天気図を眺めていれば答えられないこともない。
【2】
光合成と呼吸について、BTB液とメダカの呼吸数で判断する問題。比較的オーソドックスな問題で、植物も呼吸は常に行っていることとBTB液の変化と二酸化炭素との関係をしっかり理解していれば解答できるはずである。問1は、文章を理解するのに時間がかかり、正答率が低かったようである。文章を分かり易く記号化するとよい。問4は、光合成をしないということを「呼吸」という語を使って説明することに戸惑ったのか、得点率が低かった。問5・6・7の計算問題は、呼吸は常に行われているということを意識して、順番に解いていっても良いが、それぞれのペットボトルで行われているはたらきを、酸素量の変化で式に表していけば、より簡単に解くことができる。
【3】
実験に対する考察力を調べることを意図した問題。実際に実験を行うときの操作や観察される事柄を、やや細かく具体的に取り上げたため、ただ実験装置の図や薬品の組み合わせを覚えているというだけでは解けなかったはずである。特に問3・問4は、どのタイミングから酸素だけが出てくるかを正しく読み取れたかどうかで差がついたと思われる。また、設問はすべて記号選択形式であったが、答えを複数選ぶものが多かったためか、予想していた以上に正答率は低かった。日頃から、「なぜこういう現象が起こるのだろう?」「この操作を行なったらどうなるだろう?」といった疑問を持ちながら理科に接することで、興味・関心の幅を広げてほしい。
【4】
水の比熱、氷の比熱、潜熱についての計算問題。氷の比熱、潜熱に関してはあまり勉強してこなかったことが予想されるが、問題文をきちんと読んで理解すれば、こういった問題を初めて見たとしても解けた問題であった。文章を読み、物理現象を理解し、立式できるかどうかで差がついた問題であったと思われる。事実、受験者の平均点と合格者の平均点で最も差がついたのは本問であった。

理科2次 正答率・講評

問題 正答率(%)
受験者 合格者
【1】 問1 86.9 90.6
問2 75.8 80.6
問3 67.1 74.9
問4 44.7 48.8
問5 43.7 50.5
【2】 問1 95.4 98.0
問2 76.1 83.9
問3 79.9 91.3
問4 78.8 84.3
問5 91.8 97.2
問6 94.1 98.7
【3】 問1 83.1 86.0
問2 84.9 92.0
問3 43.7 58.9
問4 39.3 55.5
問5 32.1 43.5
問6 67.2 77.9
問7 28.4 36.8
【4】 問1 79.8 91.3
問2 46.2 52.8
問3 17.1 29.1
問4 57.3 74.9
問5 42.5 56.5
【1】
グランドキャニオンに分布している地層についての基本問題。コロラド川のはたらき、石灰岩の堆積環境、不整合の形成過程については多くの受験生が答えられていた。次に、古生代の示準化石を問う問題については、意外と正答率が低かった。どの時代においても基本的な化石の名前を出題していたので覚えていれば答えられた。最後に、古生代の生命の大量絶滅に関しての問題は、生命の種が多く入れ替わるところで時代が区分されていることに基づき、古生代と中生代の間で紀から代の入れ替わりがあることを考えれば、二畳紀末と答えられる。
【2】
植物に関する基本問題。全体的に正答率が高かった。前半は植物のつくりに関する問題。光合成などの基本的な用語を答える問題は良く出来ていたが、道管と師管の位置と名称を答える問題(問2)は、こちらの予想以上に書けていなかった。基本的なことを頭に入れ、それを使いこなすのは理科として当然の姿勢である。しっかり復習をしてもらいたい。後半はウキクサに関する問題。ウキクサの成長についての対照実験(問5・問6)は、非常に出来が良かった。日頃から実験や観察に対する興味・関心の高さが、正答率に現れていると考えている。この調子で勉強に励んでもらいたい。
【3】
電磁力と方位磁針に関する問題。電流の流れる向きによってU字形の①~④がN極になるかS極になるか。また、流れる電流が電球のつながり方によって強くなるのか,弱くなるか。などの要素を総合的に考えることができるかを問う問題である。特に問3・問4・問5・問7の順に正答率が下がっている。これは、それぞれスイッチを入れ替えたときに流れる電流の向きによりU字形の鉄の棒の①~④が何極になっているかを正しく判断し、その極と方位磁針の極との力の関係によって方位磁針がどちらに向くのかを考えればよい。問2や問6のように、正答率が高いものあるので基本的なことは理解しているがそれが上記のように複合的な要素が入ってもできるかが合格者との差であると考えられる。
【4】
溶解度に関する問題。問2は残っている水溶液を考えるのではなく、蒸発した水にどれだけ溶けていたかを考えると簡単に正解が得られる。問3は水溶液の量が100gであるのに、水の量が100gとして計算して間違った解答を出している者が多かった。問5の記述問題は、問4の(1)と(2)を解くことがヒントとなっているので、問4の考え方を問5に応用できた者は正解できたのではないだろうか。

理科3次 正答率・講評

問題 正答率(%)
受験者 合格者
【1】 問1 68.8 77.1
問2 52.7 76.0
問3 30.9 53.1
問4 52.2 55.2
問5 30.9 46.9
問6 65.5 82.6
【2】 問1 85.2 87.0
問2 82.9 95.8
問3 88.2 95.8
問4 71.8 80.9
問5 37.6 36.5
問6 48.6 57.0
問7 18.9 31.3
【3】 問1 58.1 62.5
問2 96.5 100.0
問3 61.4 84.4
問4 36.7 45.8
問5 16.6 20.8
問6 23.6 42.7
問7 30.7 31.3
【4】 問1 28.9 47.9
問2 29.5 46.9
問3 55.9 81.3
問4 72.5 90.6
問5 62.6 80.2
問6 39.0 67.7
【1】
明けの明星や宵の明星と呼ばれる金星の問題。解く上で、地球から離れた視点から考えたり、地球上の観測者として考えたりしなければならない。問2と問3は地球の公転の向きから、地球の自転の向きを考えなければ正解を得ることはできず、問3は金星の位置をすべて答えなければならないので正答率は低かった。問4は月と同じように考えれば正解できるが、問5は月とは違い金星と地球の距離を考える必要があるので正答率が低かった。問6は水星と答えられているのも関わらず、理由が明確に説明できていない者が多かった。
【2】
絶滅危惧種であるメダカの基本的な習性とそれを取り巻く環境変化の問題。問4は、胚乳という解答も多く、無胚乳種子のインゲンマメということに注意したかどうかで合格者との正答率の差がでたようである。問5は、水田地帯のメダカと限定していることと本文の内容から判断できる。また、問6は、最近よく耳にする外来種の問題である。設問全体の文章からも判断できるヒントはあるが、代表的なものはその生物が抱えている問題など興味を持ってほしいと思う。環境問題に関しては、身近な問題として意識しているかどうかの差が点差に表れている。
【3】
金属の基本的な性質および金属の結晶構造に関する問題である。普段問題集等でよく見かける金属の性質を問うた問1から問3は高い正答率であった。しかし、普段見かけない結晶格子に関する設問では戸惑った受験生が多かったようである。問題文の設定をよく読み算数で取り扱っている立体の計算と変わらないことに気づいた受験生は得点できていたのではないだろうか。ただ、問5は2つの並んだ立方体を考える必要がありやや難しかったかと思われる。問7ではいかにニュースや新聞などで燃料電池やハイブリッドカーなどの科学的な情報を取り入れているかを問うた。理科という学問では、ちょっとした疑問を論理的に解決していく姿勢が何より大切である。
【4】
浮力や力のつり合いに関しての基本的な知識と科学的な思考力を見る問題である。問1は水面に浮いている木片と水中に沈んでいるおもりを台はかりで比べる問題であるが、受験者と合格者の正答率の差が大きかった。物理現象の本質を考える力に差が出ている。問3から問5の計算問題では正答率が全体的に高くなっている。思考を要する問題より計算問題の方が受験生にはなじみがあり、問題集等で扱いなれていたためであると思われる。「鉄でできた船がなぜ海水面上を浮くのか」など、身のまわりの現象に対して、科学的な観点から好奇心を持つことを大切にしてほしい。