入試講評
平成27年度 中学入試講評
理科
理科1次 正答率・講評
問題 |
正答率(%) |
受験者 |
合格者 |
【1】 |
問1 |
68.1 |
69.6 |
問2 |
33.3 |
39.1 |
問3 |
30.7 |
36.6 |
問4 |
22.9 |
32.1 |
【2】 |
問1 |
80.0 |
87.5 |
問2 |
56.2 |
69.6 |
問3 |
27.2 |
39.1 |
問4 |
8.6 |
15.9 |
【3】 |
問1 |
55.9 |
69.6 |
問2 |
26.8 |
39.1 |
問3 |
61.5 |
82.6 |
問4 |
7.0 |
14.1 |
問5 |
2.8 |
4.3 |
【4】 |
問1 |
30.0 |
34.8 |
問2 |
91.1 |
97.3 |
問3 |
85.9 |
83.7 |
問4 |
78.1 |
80.4 |
問5 |
75.1 |
85.3 |
問6 |
68.1 |
71.7 |
- 【1】
- 低気圧をテーマにした問題である。問1を除いて予想よりも正答率が低かった。問3は(1)は比較的よくできていたが、(2)では梅雨前線という誤答が非常に多く、全体の正答率は伸び悩んだ。問4は(2)を完答としたため、正答率は低かった。有名な実験ではあるが、知らない受験生には難しかったようであり、受験者全体と合格者の正答率が約10%と最も差がつく結果であった。理科の学習では、用語や事実をただ暗記するのではなく、仕組みや理由を理解した上で覚えるようにすることと、色々な実験に関心をもって接する姿勢を大切にしてほしい。
- 【2】
- 実験を行う際に測定するデータの意味について、しっかりと考えられるかを確かめる問題である。その題材として、呼吸商の測定実験を選んだ。聞き慣れない用語や見慣れない実験が多少出てくるため、問題文を平易にして取り組みやすくしたが、とまどった受験者が多かったように感じる。問1は初歩的な知識の確認問題だったため、正答率は高かった。問2は、参考になるリード文を添えたため、それをきちんと読んだかどうかで差がついた。問3以降は、受験者と合格者の間に得点率で最も差がついた部分である。学習をする際には、知識のみを蓄えるのではなく、疑問点を見つけ出して、一つ一つ理解を深めていくように心がけてほしい。
- 【3】
- 硝酸ナトリウムの溶解度の問題である。水溶液の濃度の計算ができるか、水溶液が飽和するときの量的関係を理解できるかを問う内容である。ポイントは、硝酸ナトリウムの重さ、水の重さ、水溶液全体の重さをきちんと区別して、どの値を計算に用いるのかを間違えないことである。また、すべての答えに小数点以下の値があるが、きちんと四捨五入して整数で答えなければならない事も気をつけなければならない。
- 【4】
- 振り子に関する問題である。基本的かつ定番な問題で構成したので、高い正答率であった。受験者と合格者の正答率を比較すると、問5で差がついたと思われる。糸の長さと1往復にかかる時間の関係性を表から読み取る問題であった。表やグラフから関係性を見抜くという作業は、理科にとって最も大切なものである。常日頃から訓練をして慣れていって欲しい。
理科2次 正答率・講評
問題 |
正答率(%) |
受験者 |
合格者 |
【1】 |
問1 |
90.5 |
92.7 |
問2 |
39.2 |
48.2 |
問3 |
27.1 |
34.2 |
問4 |
31.2 |
39.5 |
問5 |
76.6 |
83.4 |
【2】 |
問1 |
76.8 |
77.6 |
問2 |
92.0 |
95.7 |
問3 |
90.3 |
92.4 |
問4 |
59.8 |
64.1 |
問5 |
72.3 |
74.4 |
問6 |
10.6 |
14.0 |
【3】 |
問1 |
95.0 |
97.7 |
問2 |
95.7 |
96.3 |
問3 |
84.6 |
88.4 |
問4 |
84.4 |
89.0 |
問5 |
20.7 |
23.7 |
問6 |
68.8 |
74.3 |
【4】 |
問1 |
96.8 |
98.3 |
問2 |
83.1 |
87.4 |
問3 |
67.3 |
79.1 |
問4 |
70.1 |
82.2 |
問5 |
29.7 |
40.9 |
- 【1】
- 柱状図で与えられたデータから地層の広がりを問う問題である。基本的には、地層の広がりをイメージできるかそうでないかが解答に関連する。凝灰岩の性質を問う問題については、多くの受験生が正答できていた。問2で、F地点での凝灰岩の地表から何mの深さで見られるかという問題がしっかりと解答でき、地層の傾きや走向をイメージできた受験生は全解答できていた。
様々な学校の過去問で練習してきた受験生にとっては解答しやすかったが、初見の受験生にとっては難問であったかのように思える。
- 【2】
- 顕微鏡の基本的な操作の問題であるが、実際の観察から理解を深める問題も含まれている。全体的によくできていたが、顕微鏡を使う機会の多かった受験生は理解しやすかったのではないだろうか。問4は観察を通して身につけていく問題であるが、観察の機会の少ない受験生は少し戸惑ったのではないかと思われる。問5は一般的な問題ではあるが、顕微鏡にはCの鏡筒が上下するものと、Fのステージが上下するものがあり、実際に使ったものがどちらであるか分かっていると理解もしやすい。問6は8個という答えが圧倒的に多かった。プレパラート内の面積ということを考えると4×4=16で割らなくてはいけないことに気づくはずである。
- 【3】
- ろうそくの燃焼に関する問題である。ほとんどが基本的な知識を問う問題であり、全体的に受験生・合格者ともよくできていた。問6(2)のメタンハイドレートは今日的な話題であるが、期待していた以上に正答率は高かった。最も正答率の低かった問5では、飽和食塩水を使わないと食塩の「柱」が溶けてしまうことが最大のポイントである。誤答としては、ファラデーの実験の意図を正しくつかめなかったものや、柱を崩さないようにという目的からの連想か、(エ)を選んでいるものが多かった。その他を選んだ人は、選択肢の内容とつじつまが合うように理由を考えたという印象が強かった。理科の実験に限らず、日頃から「これを行うとどうなるだろう」という視点を持ち、仕組みや原理を意識しながら物事に接することをぜひ習慣にしてほしい。
- 【4】
- 天秤のつり合いの概念を拡張して、大きさのある物体を回転させずに安定させることに注目した問題である。問1,2は基礎事項なのでほとんど差はつかなかった。問3は、理科の内容について突然算数の考え方を問われたときの対応力を見た問題である。いざとなれば場合分けをして全パターンを書き出せば正答に至るのだが、全受験者と合格者の間の正答率に大きく差がついた。問題に取り組むときには、色々な側面から考察していく姿勢を身に着けてほしい。問4,5は天秤の応用的な内容である。「各天秤の重さは全てつり合いの位置にかかること」・「板のような平面的な物体は、棒のような物体がいたるところにあると見なせること」に気が付けば、正答に至れる。合格者は、きちんと道筋を立てて考えられていたようである。
理科3次 正答率・講評
問題 |
正答率(%) |
受験者 |
合格者 |
【1】 |
問1 |
90.5 |
92.7 |
問2 |
39.2 |
48.2 |
問3 |
27.1 |
34.2 |
問4 |
31.2 |
39.5 |
問5 |
76.6 |
83.4 |
【2】 |
問1 |
76.8 |
77.6 |
問2 |
92.0 |
95.7 |
問3 |
90.3 |
92.4 |
問4 |
59.8 |
64.1 |
問5 |
72.3 |
74.4 |
問6 |
10.6 |
14.0 |
【3】 |
問1 |
95.0 |
97.7 |
問2 |
95.7 |
96.3 |
問3 |
84.6 |
88.4 |
問4 |
84.4 |
89.0 |
問5 |
20.7 |
23.7 |
問6 |
68.8 |
74.3 |
【4】 |
問1 |
96.8 |
98.3 |
問2 |
83.1 |
87.4 |
問3 |
67.3 |
79.1 |
問4 |
70.1 |
82.2 |
問5 |
29.7 |
40.9 |
- 【1】
- 月の満ち欠けを詠っていた柿本人麻呂の短歌から月に関する問題を出題した。
月の公転方向については正答率が高かった。下弦の月に関する形状を描く問題については、問題文中にぬりつぶさないように指示が出ていたにも関わらずそうしていた受験生が多かった。
歌中での太陽の昇るタイミングと下弦の月が沈むタイミングの矛盾点が気づけた受験生は問4、5は容易であったはずである。
全体的には月の公転の基本事項を確認した基本問題であったので正答率は高かった。
- 【2】
- 実験・観察結果をグラフなどから整理、理解していく問題である。問1~問4は、直接実験には関係のない基本問題であるが、問3がやや低い結果となった。終齢幼虫が5齢ということはカイコも同じで、完全変態に加えて整理してほしいものである。また、問4の不正解の中に「葉を余り食べていないので・・・」というものが多かったが、文章全体の内容を考えれば、擬態・保護色に関連しているものと判断できたはずである。問5、問6は、結果とグラフから分かっていることを整理していけば、答えられるものであるが、茶色と緑色の幹や枝がどんな形状のものが多いかは、推測が必要である。
- 【3】
- 状態変化と熱量に関する設問である。単純な状態変化の名前や現象を問う問1や問2は受験者・合格者ともに正答率が高かった。しかし、熱量に関する計算ではやや正答率が低かった。問3では、0℃の氷を0℃の水に状態変化する潜熱(融解熱)を考慮し忘れている誤答が目立った。また、鉄の比熱を求める問4では、1よりもかなり大きな値を解答としている答案も見受けられた。お湯はなかなか冷めないが、熱した鉄はすぐ冷たくなることを考えれば、解答した値が妥当かどうか判断できるはずである。問5、問6は日常生活で起こる現象を科学的に考察できるかを問う問題である。日頃から、様々な現象に関して「なぜ?」という視点を持ち続けてほしい。
- 【4】
- 照らされる面の明るさと光源からの距離との関係および凸レンズを通る光の進み方を拡散光線と平行光線について問う問題である。問1~問3は基本的なことがわかれば解ける問題であるが,正答率が思いのほか低かった。特に問3の正当率が低かったのは凸レンズに関する基本事項が理解されていなかったようである。全体的に正当率が低かったようで,これはこの分野について受験生はあまり力を入れて学習していないように思われる。すべての分野の基本事項は一通り学習してほしい。